最後の時計メーカー探究はメートル・デュ・タン(MAITRES du TEMPS)です。
おそらく、相当な時計好きでないと知らないブランドかと思います。
まだ、誕生してから歴史が浅く、これからが楽しみなブランドの一つです。
創業者はスティーブン・ホルツマン。
1894年にアメリカで設立された最も古い時計会社の一つ、グルエン・ウォッチ・カンパニーで時計販売の経験を積んできました。
その後、アメリカで高品質なスイス時計ブランドし発表し、素晴らしい成功を収めてきました。様々なプロジェクトに取り組む中、ホルツマンはローラー表示コンセプトをずっと胸に抱いていました。そのアイディアは25年前に彼の祖父がヨーロッパ旅行から持ち帰った卓上時計の動きのからくりからきたものでした。
そのからくりが地球上のからくり、すなわち自転は全て自然の動きであるということを思い出させました。彼は時間が3次元だと考えたのです。「時間とは、人生のようで、平坦ではない。それじゃぁなぜそのように表現されなければならないのだろうか?」。それは自立の精神を時計に取り込み、究極の品質と仕上げで、最高仕様の贅沢な時計を提供することでした。
その想いから、2005年にメートル・デュ・タンが誕生します。ケースデザインは長らくいたグルエンの代表的なモデル「カーベックス」を思い出すようなデザインになっています。
ムーブメントの形状からその様なデザインになったのかもしれませんが、もしかしたら、グルエンに対するオマージュもあるのかもしれません。「私たちは創作、革新、そして職人の技能に努力を費やしています」とホルツマンは言います。
まだ、数少ないモデルしか発表されていませんが、その全てのモデルがピーター・スピーク・マリン氏やダニエル・ロート氏など著名な時計師のコラボレートで作られています。
また、「夢を追うと決意したとき、私は情熱に駆り立てられました。私は時を越えて、素晴らしい品質のサインとなるとても特別な時計を開発したかったのです。」ともホルツマンは言っています。
ホルツマンは時計師ではありませんが、独自の時間に対する概念をもち、それをどの様にしたら形になるのか確固たる術を知っていると感じさせます。
次の新作はどの様な作品が生まれるのか楽しみです。
次回は、ホルツマンの想いが沢山つまった機械を見ていきましょう。お楽しみに!