1891年のパテック・フィリップの懐中時計です。
100歳以上になる時計ですが、コンディション状態が良くそんな事を感じさせません。現代の時計からしたら特別な機能は全くありません。
普通に2針のスモールセコンドハンドが付いている時計です。
時計を構成する基本的な構造のみ。
しかし、パーツや受けの仕上げが大変に綺麗です。
角パーツの面とりはもちろんですが、ネジや歯車の鏡面仕上げも秀逸です。
現代ほど工作機器があるわけではありません。
今より人の手で作り上げていく部分は多かったはずです。
歯車の鏡面仕上げも一つ一つ手作業で行われたはずです。
実際に歯車の鏡面仕上げをしてみると分かるのですが、かなり時間がかかります。
ただピカピカにするのではなく、面をしっかり出して、擦り傷一つ付けないのは容易なことではありません。
歯車一つの鏡面仕上げでこの調子ですから、この時計一つ作るのに一体どのくらい時間がかかるのでしょうか?
当時はかなり裕福な人しか持てなかった時計だと思います。
現代にも高い時計は沢山ありますが、シンプルな機構の時計でここまで手間暇かけた時計はそうそうありません。
こういう時計を見ると作られた時から100年以上の寿命を持ち、代々受け継がれていく運命を背負っている感じさえします。