炭素鋼ゼンマイとニバフレックスゼンマイ

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時計 修理 ゼンマイ

 

今回はゼンマイの話をしたいと思います。
時計にとってゼンマイは動力源で、車に例えるならガソリンになります。
ですから、大変重要な役割を担っております。昔の時計は炭素鋼ゼンマイを使い(いわゆる鉄ゼンマイと言われるもので)鉄を焼き入れ処理し弾性を高めた物でした。
現在は二バフレックスゼンマイとなり、合金の一つで切れにくく弾性が長く保つ物となっています。
写真を見て頂ければ分かりますが、炭素鋼ゼンマイはただの渦巻き状で、二バフレックスゼンマイはS字を描く形をしています。
炭素鋼ゼンマイは、使い続けているとへたっていき、トルク、持続時間の減少が生じます。
一方、二バフレックスゼンマイは何年たってもヘタリにくく、トルク・持続時間が保つことが出来ます。
ここで大事なのが、一定のトルクをどのくらい保つことが出来るかと言う事です。
炭素鋼ゼンマイであっても、ゼンマイを一杯に巻いた時は十分なトルクが出るものですが、しばらく時間が経つと急激にトルクが落ちてくるものがあります。
これですと、テンプの振りに影響し、精度が不安定になります。ある意味一定のトルクを出し続けていれば、精度は安定すると言えます。
過去の偉大な先人たちは炭素鋼ゼンマイの欠点を補うために様々な機構を開発しましたが、ニバフレックスゼンマイが開発された事により、現在これらの機構もごくわずかの超高級時計に使われるくらいです。

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