時計の修理とは? No.1-2

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技術者といっても働く場所はいろいろありますが、まず挙がるのがメーカー(輸入代理店)の技術部です。技術者は多いところでは1社で200人以上もいますが、1人というところもあります。スイスの会社と直接繋がっているため、技術的なこと、交換部品が手に入りやすいなど非常に恵まれていると思います。
 ただ私は少し違った見方をしています。そうした技術者は恵まれた環境にいるため、会社の中だけの勉強に終わっているように感じます。その会社で一生働くと決めている人はそれでもよいのですが、はたしてそれが可能でしょうか。今後、ムーブ交換対応が始まったら一人前の技術者は必要なくなります。ちょっと手先の器用な人で十分対応が可能と考えるからです。大きな会社に入ったから安泰と考えるのはどうでしょうか。私のうがった見方でしょうか。
 時計修理技術者について、世の中の人には、大変な細かい仕事で職人の世界と思われています。しかし私が見る限り、今の若い技術者はサラリーマン化してしまったと思います。自分から目標を持って仕事をしている人は少ないように見えます。会社や上司の指示だけで動いているようです。でも、サラリーマン技術者の皆さん、それが一番ラクなのですか。

この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。

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