時計の修理とは? No.2-3

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メーカー(輸入代理店)の技術者は分かっていると思いますが、機械式の修理はどれをとってもデリケートで大変です。特に新製品、オリジナルのムーブメントだとなおさらですね。もっと言えば、老舗の機械はそれなりのしっかりした作りですが、ここ数年間に出てきた新しいブランドの中にはアイデアだけで作った設計図のままに作られてて作動不良が起きるものを見ることがあります。16年前に約5年間修理に携わったあのランゲ&ゾーネでさえ、新しいムーブメントができて販売できるようになるまで約4年かかると聞きました。本当に良くなるには、それからまた改良を続けて4年かかると言っていました。新製品、特に新しい機械が入った時計はまだ完成品ではないと思っていただければと思います。あのランゲ&ゾーネでさえ完全な時計ができるまでに8年はかかるというのですから。余談ですが、ランゲ1の部品の中に1箇所だけ私のアイデアを取り入れて改良したところがあります。いまでもランゲ1の修理がくるとその部分にすぐ目がいきます。

この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。

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