時計の修理とは? No.5-2

  • LINEで送る

今の若いものはとの話から始まったのですが、本当によく仕事はやる、言われたこと、与えられたことは一生懸命やる、ただこだわりすぎる。どういうことかと言うと、例えばケースキズ、とことんキズを取ろうとする。その時計が数年使用したものでも、ケース仕上げの要請があった場合、新品同様に仕上げようとするわけです。キズを取ることだけを考えて、例えば0.2ミリの大きな深いキズであっても取ろうとするのです。今の時計のケース厚はメーカーによってまちまちでしょうが、裏ブタが0.8から0.9ミリと思います。ケースの胴、3時9時のケース厚は裏ブタより薄いと思いますので、もし0.2ミリのキズを4回繰り返して仕上げたらケースがペラペラでなくなってしまうことになります。分かりますか、仕上げをするということは、削り取って薄くなっているということを。

この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。

  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。