時計メーカー探究 ブランパン編 ②

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では、前回のブランパン、フライバッククロノグラフの機械を見てみましょう。

フレデリック・ピゲ社のクロノグラフムーブメントCal.1185をフライバック使用にしたものです。
もちろん、各パーツの仕上げはピゲ社の物より綺麗にされています。

まず、この機械を見て受ける印象は「薄い」です。厚さは5.4mm、自動巻き機構が付いてこの厚さですから、かなり薄いです。比較参考に、ETAのCal.7750は厚さ7.9mmです。

それでは、何故これほど薄くできたのでしょうか?
これにはクロノグラフ機構の構造改革があってのことです。クロノグラフ機構の歴史を見ていきますと、時計機構のあるベースムーブメントの上にクロノグラフ機構が乗っかる形から始まり、先ほどにも出ましたETA7750も基本的には同じ原理で構成されています。
ですから、かなり長い間この構造を基本にしている訳です。
この構造を簡単に説明しますと、時計部分の車(通常4番車)と同軸に車(ドライビングホイール)を取り付けます。
これにトランスミッションホイールと言うクロノグラフランナーとドライビングホイールを結ぶ中間車の役割をする車があります。
スタート、ストップの操作をすることでこの車がクロノグラフランナーと噛み合ったり離れたりします。
当然、噛み合った場合はクロノグラフランナーが動き、離れればランナーの動きが止まると言う仕組みです。
この機構の問題点は、クロノグラフランナーとトランスミッションホイールが噛み合う時に車と車の歯の山の部分が当たった場合、突っ張る事で止まってしまう可能性がある事です。
その問題も解消し、クロノグラフランナーを時計機構部分と一緒にしてしまったことで薄くも出来てしまったのが今回の機械です。
クロノグラフランナーの「車」の部分だけ動かす事で時計部分の輪列とし、ランナーの心棒と一緒に「車」も動かす事で、クロノグラフが作動する仕組みです。
クロノグラフランナーの心棒と車は完全に固定されているわけではなく、バネのテンションで止められているのみなので車を手で回すと回ります。
この車を写真にある青い丸で囲んだあるレバーで操作しています。
レバーで持ち上げている時は、バネのテンションが無くなり通常の時計の歯車として機能し、レバーが解除するとバネのテンションが加わり心棒と一体になりクロノグラフが動く仕組みです。
車自体は常に隣り合う車に接している為に車同士の突っ張りはおこりません。
この仕組みを垂直クラッチ方式と言います。
しかし、この機構を発明したのは実は日本のセイコーなんです。
60年代後半位から登場したクロノグラフに使われていましたが、心棒が細いのが原因で故障が多かったのですが・・・ブランパンの物は太くしてあり欠点を改良しています。
おそらくブランパンはセイコーのこのムーブメントを参考にしていると思いますが、かなりの改善をしている所に凄さを感じます。

それでは次回もお楽しみに!

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