時計の修理とは? No.6-1

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前回に続いてケース仕上げについてお話します。仕上げを本格的に始めたのは、おそらく20年前ぐらいと思いますが、私がケースをきれいにするようになったのは、お客様からの要望からだったと思います。それまではケースの中の機械をきれいに、不具合のある機械を直すことが私達修理技術者の仕事だと思ってやっていましたが、お客様からケースがきれいになっていないが本当にちゃんと修理したのかと言われたことがありました。

そのことがあった後、まずガラスを磨きました。ガラスと言っても現在のミネラルガラス、サファイアガラスではなくプラスチックの風防がほとんどでした。プラスチックですからキズが付きやすいので修理後に磨くと見違えるようにきれいになり、文字板がきれいに見えるようになるので、お客様から喜ばれました。風防ガラスを磨いてきれいにするとケースの曇りが気になってきます。セルベットに青粉または赤粉を付けてケースを磨いたものです。

この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。

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