時計の修理とは? No.6-2

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私はやったことはなかったのですが、先輩技術者は機械の汚れまた光沢を出すため洗いバケに赤粉を付けて磨いているのを見たことがあります。だから当時、時計の修理をすることをミガキと呼びました。そのころの町の小売店ではバフは無かったのです。中の機械の洗浄機も無くベンジンで洗い、バケで手洗いでした。それが今から約40年前です。

23歳の時、スイス時計の輸入会社に入社して初めてバフでケースを磨くことを覚えました。磨くといっても、今のような仕上げだけではなく変色を取る程度、そういう時代を知っているため現在の仕上げのやりすぎに疑問を持ちます。時代の違いか、それとも販売店または技術者の満足のためかも、私の穿った見方でしょうか。今の若い技術者の修理品の見方は良いか悪いか、有るか無いか、白か黒かしかできないように感じます。これくらいでいいんじゃないと、中間的な見方ができないように私には見えますが、皆さん、どうですか。

この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。

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