時計の修理とは? No.7-2

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日本デスコでの一番の思い出は、オーデマピゲのポケットウォッチでミニッツリピーター、スプリットクロノグラフ、それに永久カレンダー付の提時計、今考えると、この時計との出会いがその後の複雑時計の修理に進む原点だったと思います。何しろすごい時計で、この時計が修理に来たときのことは今でも思い出すくらいに強烈でした、こんな時計があるんだと思うくらいに。当然当時もスイスに送って修理するのが当たりえt前と思っていましたが、たまたまスイスから若い技術者が来ていました。今考えると本当にラッキーだと思います。彼が私にやってみようかといってきたのです。もちろん私もやろうと同意しました。その当時、まだオーデマピゲは手巻と自動巻しか修理をしていなくて複雑時計はやったことはありませんでしたが、多分そのとき25歳と一番やる気と向上心があったときと思います。ところがやるといってもスイスから来た技術者もここまでの複雑時計をやっていないという。もちろんマニュアルも無く、今考えるとよくやったなあと思います。でもそのことがあったことで、初めて修理する時計でもそのときのことを考えると何てことないと思えるのです。それだけ大変な思いをして直しました。私の原点です。

この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。

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