それでは、前回の機械内部を見てみましょう。
永久カレンダー機構のある時計は大概の場合、ベースムーブメント(基本機能の部分)に永久カレンダー機構のモジュールが乗っかって1つのムーブメントとなります。
まず、ベースムーブメントですが、レマニアのCal.8810がベースになっています。
おそらく、ロンジンのCal.L990と言った方が名が通っているかと思います。
薄型の自動巻きムーブメントなのですが、一番の特徴はツインバレルになっていることです。
自動巻きローターを取った状態から受けを取りますと、二つの大小の香箱が使われているのが分かると思います。
大きい方がメインバレルで、小さい方がそれを補正するための香箱となります。
これは、ロングパワーリザーブの為にツインバレルになっているのではなく、ゼンマイがほどける時のトルクの変動を安定させる為に二つになっています。
ゼンマイのトルク変化が大きいと精度に影響するので、それを解消するためのシステムなのです。
次に永久カレンダーモジュール部分を見てみましょう。
ひとたび日、曜日を合わせてしまえば、動き続けている限りカレンダー修正をする必要がなくなります。
残念ながら月齢に関しては簡易的な物ですので多少の修正が必要になります。
曜日のディスクと月のディスクの下にもパーツはありますが、たったこれだけのパーツで複雑なカレンダー処理をしているなんて想像できましたか?
他ブランドの永久カレンダーモジュールも似たような感じです。
これだけのパーツで構成されているなら組み立てられると思われる人もいるかもしれません。
組み立てること自体は難しい事ではないのですが、バネ類で規制されているパーツが多い物は微妙なバネの調整に神経を使い、そこが難しい所なのです。
今回はここまで。次回もお楽しみに!