時計の修理とは? No.8-5

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話を前に戻します。部品交換対応が多くなったのですが、交換部品が手に入らなかったらどうします。おそらく、できませんと戻すかメーカーに出すか、ですね。メーカーはどうしているのでしょう。町の修理業者よりも当然部品が揃っていると思いますので直ると思います。ところが、これが20年前30年前の時計ともなると町の修理屋さんと同じ対応になって、今度はスイス送りになるのです。私も輸入会社にいましたが、技術的に私から見たらそう難しいとは思わない修理も若い技術者にとっては大変なことのようでした。ちょっとした修理技術があれば直せるのにやらない。私がこうすれば直ると指導してもそのことが理解できない、理解できても手が動かないなど色々ありました。ですから今、私はちょっと危機感をもっています。このまま部品交換の修理技術で良いのか、部品がなかったらメーカーに送ってスイス修理で良いのか、時計業界全体で考えてほしいと思います。

CMWの話ができませんでしたが、日本の国家試験とは全く目的が違うということだけは言って、今回の終わりとしたいと思います。

 

この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。

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