時計の修理とは? No.9-3

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若い技術者からの話を聞かされて納得しました。私の工房に来るお客様も非常に細かく内容を聞いてきます。時間調整ひとつにしても、どうしてと聞いてきます。これは、お客様に心配と不安があるからだと思います。その不安を取り除いてあげると預けてくれると思います。もちろん完全な修理をやってお返しすることが前提ですが。

この1カ月の間に他の技術者がやったという修理品を預かりました。ひとつはもともと文字盤に足がない時計なのですが、機械にのり付けして修理してありました。話を聞くと、約8カ月前にやったとのこと。見るとのりが付いているところが錆びていました。のりの成分が鉄を錆びさせたと思います。ただこの時計文字板の止め方はのり付けではなくケースに圧入するものです。そのことを知らない技術者はついついのりを付けてしまったのだと思いますが。

 

この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。

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