では、機械を見てみましょう。機能はパワーリザーブ付きのトゥールビヨンになります。簡単に表裏を見て、
メインのトゥールビヨン機構を重点的に見ていきます。
その前にトゥールビョン機構とはどんな物かと言うと、
1795年に天才時計師アブラアン・ルイ・ブレゲが発明した時計にかかる僅かな重力差から生じる姿勢差を自動補正する機構で、脱進調速機を収めたキャリッジが一定速度で回転し、重力の影響を各方向において平均化させます。
時計に詳しい人以外には分かりにくいですね。
機械式時計は姿勢により時間が変わってしまいます。
文字盤上にした時とリューズを下にした時などです。
この時、テンプの向きが変わることで重力差が出て時間が変わってしまう訳です。
それならば、常にテンプを色々な方向に回り続けさせれば重力差を平均化でき時間が変わらないでしょうと言う訳です。
既に精度の限界にある現代の機械式時計はトゥールビヨンだからと言って精度が極端に良い訳ではありません。
ですが、トゥールビヨンが発明された18世紀においてはまだまだ精度を追及していた時代であり、如何に精度の良い時計を作るかと言う事が大変重要でした。
精度の追及も終わったに等しい今、この機構が残っている理由とは何でしょう?
やはり視覚の楽しさなのではないでしょうか。
キャリッジの回転を見ていると何だか時の不思議さを感じざるを得ません。
トゥールビヨン機構の全体図です。
キャリッジと言われる籠の様な物に、テンプと脱進機(ガンギ車、アンクル)が組み込まれています。
これをばらしていきます。
直径約1センチの物にこれだけのパーツが組み込まれています。
更にばらす事は可能ですが修理ではここまでで大丈夫です。
機構の理解をするのは難しくありませんが、それより組み立てに神経を使う機構です。
もし、実際にトゥールビヨンを見る機会があれば、その動きを是非堪能してください。
それでは、来週もお楽しみに!