それでは機械を見ていきましょう。
文字盤側も裏蓋側もシースルーなので構造は丸見えです。
機構的に自動巻きのカレンダーが付いているだけですし、それを表現するシステムもオーソドックスに近い物があります。
前回の写真ですと文字盤側しか分かりませんので、裏蓋側を載せます。
まず、自動巻きローターに特徴があり、赤で囲まれた羽の様なパーツを動かす事で慣性モーメントが変わり、ゼンマイの巻き上げ効率を変える事が出来ます。
人により腕の運動量は違うので、自分の生活スタイルにマッチしたゼンマイの巻き上げ量に調整できるという事です。
輪列等を挟み込む受けもかなりくり抜かれているのでバラす必要もないかもしれませんが、折角ですので受けを取ってみましょう。
ゼンマイを巻き上げる自動巻き機構が受けと一体になっていますね。
時計修理技術者が見れば、構造上の難しさは感じないかと思います。
さて、一番の特徴と思われる部分ですが…意外に思われるかもしれませんが、ネジです。
ネジとは締まってもらわないと困るし、逆に緩んでもくれないと困るのです。
時計は使用中、常に細かい振動を受けています。
きつく締めこんだネジも最初の一締めが緩んだら簡単に外れて行ってしまいます。
制約が多い時計ですので、ネジの大きさ、厚さにも限界があり、自ずと締めこめる力にも限界が出てしまいます。
なるべく締められ、緩まないネジが良いのですが、このネジは一つの解答かもしれません。
大の字の様な形にする事で、ネジを締めるのも安定感が出てしっかり締める事ができます。
そして、ワッシャーを使用する事で緩みづらくしています。
大したことに感じないかもしれませんが、ネジまで言及された機械が無かった事を考えれば凄い事なのです。
それでは、来週もお楽しみに!