それでは機械を見てみましょう。
フレデリック・ピゲ社のCal.21Pを使用しています。
ブレゲ仕様に受けなどの仕上げはより綺麗になっています。
シンプルな2針の時計ですので機械もシンプルに必要最低限のパーツで構成されています。
この機械の一番の特徴は薄い事です。
厚さが1.73mmで、身近な物で比べると500円玉とほぼ同じ厚さになります。
薄く作ろうとすれば、機械に色々な制約が出てきます。
各々のパーツを薄くすれば良いかと思うかもしれませんが、それですと強度に問題が出てきます。
実用に耐えうる強度を保ち、いかに薄く作るか…今まで色々な薄型ムーブメントが出ましたが、それぞれの試行錯誤が感じられる物が多いです。
それでは、この機械はどの部分に工夫を凝らしているかと言いますと、
ゼンマイの入る香箱になります。
香箱を取り出してみると、通常だとある香箱の蓋が付いていません。
香箱が乗る地板を蓋にする事で、蓋の分だけ薄く作る事を可能にしています。
この方法が良いかどうかは何とも言えませんが、必要最低限のパーツで構成された機械を更に削減して同じ機能、性能を出さなければならない事は、機械式ムーブメントの可能性を探る一つの挑戦とも考えられます。
それでは、また来週もお楽しみに!