私達のもっと前は何が試験に出るか分からなかった時代もあったと聞きました。提げ時計とは決まっていてもどのブランドが自分の手元に来るか分からなかったと聞きました。5人受験したとしたら5個来るのですが、くじ引きで自分の時計が決まったとのことです。ですから、若い皆さんが受けた国家試験とはまったく違った試験だったのです。課題の時計が一個一個違うわけですから、また町で売っている新品ではないのですから交換部品もないのです。それで壊れた部品を作り、修理して動くようにしたのです。これが本来の修理ということだと思うのですが。
この文章は、THE WATCH & JEWELRY TODAY(株式会社 時計美術宝飾新聞社)に2011年1月~11月と2012年3月の12回連載されたものを打ち直したものです。