それでは機械を見てみましょう。
ベースムーブメントはETAのCal.6497-2です。受けはコート・ド・ジュネーブ仕上げで、ジュネーブ波形とも呼ばれる美しい縞模様になっています。
これはペルラージュ仕上げと並ぶスイスの伝統的仕上げです。
ネジはブルースチールになっており、メッキよりも錆びにくいという特徴と美観の点から針やネジに用いられます。
その他に、テンプの素材等の変更点はありますが違いはこの位です。
では、受けを取ってみますと、時計の基本パーツ、輪列のみの大変シンプルな構造となっています。
取り立ててこれと言った特記する点もありません。
ETAのムーブメントと言うと時計好きの間で、どうも少し低く見られている感じがします。
確かに、ムーブメントメーカーのフレデリック・ピゲや自社のムーブメントを作るパテック・フィリップ等のムーブメントと見比べると美しさの観点で劣るのは明らかなのですが、
果たして精度は?耐久性は?メンテナンスは?等を考えていくと、
あながちただの量産ムーブメントメーカーとは言えないと思います。
修理の観点から言わせてもらえれば、ETAほど安心して直せるムーブメントはないのです。
しかし、同じETAのムーブメントでも今回のパネライの物と、それと同じムーブメントを使用した安価な時計では修理も変わります。
あくまでパネライのETAなのです。
この意識があるかないかは技術以上に大切なのです。
それでは、また来週もお楽しみに!